まもなく創業70年を迎える株式会社創美工芸様は、金属プレス一筋で歩みを重ねてきた精密プレス加工・金型製作の専門企業です。
同社が手がけるのは、家電やOA機器、自動車に使用される各種パーツ。製品そのものは一般のお客様の目に触れることは少ないものの、身近な暮らしを支える製品を数多く製造しています。
37年前に同社初の海外工場としてタイへ進出し、以降は国内外で生産体制を強化。現在は本社を含めて日本に3拠点、アジアに6拠点、ヨーロッパに1拠点を構え、グローバルに事業を展開しています。
北浦工務店は今回、フロアに分散していた各部署の間仕切壁を撤去することで、開放的なワンフロアオフィスへと生まれ変わらせる大規模な改修工事を担当しました。
工事に至った背景や北浦工務店の提案、工事の印象について、株式会社創美工芸・代表取締役の清水社長と総務部の新(あたらし)様にお話を伺いました。

株式会社創美工芸
本社 大阪府八尾市竹渕西1丁目36番地
業務内容 自動車、通信機器、電化製品、OA機器の金属構成部品製造
社員数 75名(2026年1月現在)
URL:https://www.sohbikogei.jp/
【お客様の課題】
・過去数回増築をしたことで、間仕切壁の構造が建築時期により異なっていた
・部署ごとに部屋が細かく仕切られ、部署間のコミュニケーションが生まれにくかった
【北浦工務店の提案と工事内容】
・2階の間仕切壁を撤去し、一つの広い空間に
・増築部を含む壁の仕様を現地で確認しながら段階的に撤去。必要に応じて鉄骨補強を行い、天井復旧まで一貫して対応
・通常業務を行いながらの施工のため、完全養生・履き替え・清掃徹底で粉塵の影響を最小限に
改修工事のきっかけは、部署間のコミュニケーション不足でした

清水社長:本社であるこの建物は、もともとフロアが細かく区切られてそれぞれの部署が配置されていたため、部署内の結束は固いものの他部署との交流は活発とは言えない状態でした。私は昨年から当社の代表を務めており、それまで8年間、中国の工場に勤務していたのですが、日本に帰ってきて社屋内の雰囲気に大きな違いがあると感じました。当社の海外工場は基本的にワンフロアで、直接意見が飛び交うような風通しの良さが魅力のひとつ。そんな海外拠点の環境と比べると、日本の本社ではすぐ隣の部屋に人がいるのにメールやチャットでのやり取りがメインになるなど、対面のコミュニケーションが少ないようにも見えました。実は、部署ごとに部屋が細かく分けられていることに対して、『物理的な壁が、心の壁のように感じることがある』と言ってくれた社員もいたんです。それもすごく印象に残っていました。
やはり本社として、海外工場の勢いや活気に負けてはいられません。まずは、明るく自然と会話が生まれやすい環境を目指したい、という思いがきっかけで、今回の改修を決断するに至りました。
要望・使い勝手・コストのバランスを考えた、“ちょうどいい提案”が有り難かったです

新様:北浦工務店様とは、以前より本社工場の小規模な修繕工事などでお付き合いさせていただいておりました。ただ、会社としては別の工務店様とのお付き合いもありましたし、今回のような大規模改修はこれまであまり経験がなかったため、北浦工務店様を含めて3社ほど見積もりを取ることにしました。
そのなかでまず驚いたのが、北浦工務店様の見積もり額が圧倒的に低価格だったことです。もちろん「安かろう悪かろう」ではありません。他社様からの提案は、こちらの要望を加味し、修繕部分を全て新しくきれいに仕上げていただくようなもので、その分コストも必要でしたが、北浦工務店様の提案は、私たちの要望・使い勝手・動線・コストのバランスまで非常に熟考された提案でした。
清水社長:大きく予算をかければ、何もかも新しくすることができると思います。ただ、海外の各拠点と比べ、当時の本社は決して黒字経営とはいえない状況で、修繕工事に大きく予算を割く余裕がありませんでした。そんななか、北浦工務店様の提案は、価格を上手に抑えながらも、私たちのやりたいことや思いをしっかり汲んだプランだったと感じています。
新様:実際に北浦社長とお話しすると、「この方法なら、同じ性能で予算を抑えることができます」と具体的な説明を出してくださり、古い社屋に使われている建材をすべて破棄するのではなく使えるものは流用し、必要なところに必要な工事だけを行うなど、細かいところまで本当に丁寧に考えてくださいました。打ち合わせ段階から、工事に対する北浦社長の誠実さが伝わってきました。
他社では不可能と言われた工事を可能に。特殊な構造の建物にも対応できる技術力の高さを感じました。

新様:今回の工事では、各部署を仕切っていた間仕切壁を取り払い、ワンフロアにする提案をしていただきました。しかし、各部署を隔てる壁の中には大きな柱が二つあり、他社に相談した際には「この柱は絶対に取ることができない、ワンフロアにすることは不可能だ」と言われました。建築時から随分年数も経っており、当初の図面や増築時の図面などは一切残っていなかったので、構造を確認することも難しい状態で。
しかし、北浦社長だけは無理とおっしゃいませんでした。いろいろ調べてくださった結果、問題となっていた2本の柱は、建物の構造そのものを支えている柱ではないことが確認できたため、補強も加え、壁と柱を取り去って、フロア全部が見渡せるような提案をいただきました。柱がなくなったことで、レイアウトが組みやすくなり、スペースも広々と使えるようになりましたのですごくありがたかったですね。

実はこの話を、工事前に社員たちにしたとき、「本当に大丈夫なのか」「天井が落ちてくるんじゃないか」と、不安の声も多かったんです。他社でも無理だと言われていた工事なので、無理もありません。でも、工事前の具体的な説明に加え、工事中は実際に天井や壁を剥がして内部の状態を見せていただきながら丁寧な説明を行なってくださったので、安心して工事をお任せできました。
顧客目線の細かい配慮と親しみやすさが安心に繋がりました

清水社長:この建屋は35年ほど前に建てられ、その後、二度増築しています。増築した時期により、使われている材料や工事の方法も異なり、また老朽化により増築部分には雨漏りが発生していました。北浦社長は、建物は必ず揺れるので増築部分にヒビが入るのは仕方のないこととし、ヒビを無理に塞ぐのではなく、今後ヒビが発生したときに自分たちで簡単に修復できるよう、あらかじめそれに適した素材を提案していただきました。
また、特にありがたかったのが工事の日程の調整です。当社では年に一度、国内外すべての拠点の代表者を本社に集め、「小集団活動」を行っています。普段は本社の大きな会議室を使うのですが、ちょうど工事の日程と重なっており、本社の会場が使えないという懸念がありました。別の場所を使うなどの案もありましたが、私としては、全拠点の代表が集まる大切な機会に、本社の会場が使えないという事態はなんとか避けたかった。そんな話をしていたら、北浦社長が開催日に間に合うよう工事日程を調整してくださいました。これは本当に嬉しかったですね。
新様:工事中は、工事エリアとそれ以外のエリアで履き物を履き替えていただき、粉塵が社屋内に広がらないように配慮していただきました。「そこまでしてくれなくても大丈夫」と思うようなところまで、細やかな気遣いが印象に残っています。職人さんたちも皆さんとても気さくで、工事箇所とは別の部分の相談したいときにも相談しやすかったですし、挨拶やコミュニケーションも積極的に行なってくださいました。工事中も、工事が終わってからも、気軽に相談できる関係が続いていることは、大きな安心につながっています。

清水社長:現在、2階のメインフロアには、営業部、品質管理部、製造部、新規事業プロジェクトに携わる部署が入っています。ワンフロアになったことで社員同士の直接の会話が増え、他部署同士の交流も自然と増えた印象です。何気ない会話が生まれ、それが自然と耳に入ってくるので、アイデアが生まれやすい環境にもなっています。
以前なら、新規プロジェクトは会議室で関係者のみで行われていましたが、今はあえて会議室を使用せず、何気ない会話の中で意見を交わす風景が見られます。そうして生まれた会話を偶然耳にした社員が、アイデアを出してきたり、担当先に話を持っていってくれたりと、自主的な動きも生まれるようになりました。
修繕工事が完了してから半年ほどですが、新たなアイデアや社内でのコラボレーションが生まれるなど、私たちが期待していたことが、改修工事を機に少しずつ現実になってきていると感じています。
【施工詳細】
2階フロアに分散していた事務所のワンフロア化と、工場内への大型機械導入を支える床構造の強化を並行し、本社機能の刷新と生産基盤の整備を同時に実現した大規模改修工事。
■技術的課題と解決策
事務所のワンフロア化:建築時期の相違により、木造、軽量鉄骨、ALC(軽量気泡コンクリート)材など、間仕切壁の構造が混在していた点が最大の難関。特に、増築部の特殊構造として残されていたALC外壁材を含む壁の撤去に際しては、建物の安全性を最優先し、段階的な解体と入念な鉄骨補強を並行。最終的に補強材を天井内に隠蔽することで、構造上の強度確保と、すっきりとした美しい仕上がりを両立させた。
工場内部における床構造の強化:重量のあるプレス機械の新規導入に伴い、工場内の既設コンクリート床(土間)の強化工事を実施。既設土間の強度情報が欠如していたため、コア抜き調査による実測を行い現状の強度を確認し、データに基づき大型機械の荷重や振動に適合する基礎兼土間改修を計画・施工した。
■現場環境管理と運営への配慮>
通常営業を継続しながらの施工となるため、徹底した粉塵・溶接養生を実施。工事区画とそれ以外のエリアでの履き替えシステムを取り入れ、清掃管理を徹底することで、通路の汚れや粉塵飛散によるオフィス環境への影響を最小限に抑制。こうした管理体制により、通常業務を妨げないクリーンな施工環境を維持した。
■お客様にご対応いただいた項目
・既設事務所の移転作業と工事完了後の原状復旧
・専門業者の手配(セキュリティーシステム、ネットワーク設備、電気設備など)
・工事区画設置に伴う業務動線の変更への柔軟な対応(通常とは異なる動線での迂回にご協力いただきました)
【株式会社北浦工務店について】
創業から45年の実績を持つ工場リフォームの専門企業。建築業界に根強い分業制の課題を解消するため、プランニングから施工管理までを自社で一括して担うワンストップ体制を確立。中間マージンを排除し、熟練の職人とお客様を直接つなぐことで、適正価格かつ高品質な施工を提供する工場の医者として、多くの生産現場を支えている 。
Made In Local(株式会社IOBI運営の地方創生メディア)の「大阪市を代表する企業100選」に選出。(https://madeinlocal.jp/category/companies/osaka023)
・著書のご紹介
代表取締役・北浦久夫 著 『目指せ!工場修繕やり直しゼロ ― 元職人社長が現場から伝える“もったいない工事”回避法』 (2025年6月24日発売)
現場での実体験を基に、費用対効果の高い改修提案やメンテナンス性を考慮した工事の秘訣を公開。日本のものづくりを支える工場の最適化に向け、プランニングコンサルティング事業も展開している 。

