1.単なる修繕にとどまらない、伴走型コンサルの軌跡
関西の食卓で愛され続ける豚まんの老舗企業、蓬莱本館様。大阪・なんばに本社を置く同社は、レストラン事業と並行し、自社工場で製造した豚まん・焼売を百貨店やスーパーマーケット向けに展開されています。
北浦工務店は、2019年頃から同社の店舗・工場におけるご相談を継続的にいただいてきました。単なる修繕業者としてではなく、食品工場特有の衛生管理や稼働制限を踏まえ、企業の将来を見据えた改善提案までを一貫して担う、コンサルティングパートナーとしてお付き合いを続けています。
今回は、株式会社蓬莱本館・常務取締役の東(あずま)様に、食品工場ならではのトラブルや課題、北浦工務店の工事に対する率直なご評価を伺いました。

2.食品工場の修繕・改修に関する企業概要と課題・提案のまとめ
株式会社蓬莱本館 様 企業概要
本社:大阪府大阪市中央区難波3-6-1
桜川工場:大阪府大阪市浪速区桜川2-2-19
千葉工場:千葉県千葉市美浜区新港63-1
事業内容:中華点心の製造・販売、レストラン事業
社員数:130名
URL:https://www.horaihonkan.co.jp/
【お客様の課題】
・店舗・工場共に増築・改修を重ねた結果、建物・配管・設備の構造が複雑
・製造過程で大量の蒸気が発生するため、カビや結露など建物へのリスクが大きい
・老朽化と増改築の繰り返しにより、床の損傷・天井の劣化・排気不良・漏水などのトラブルが予想外のタイミングで発生
・チルド商品を扱うため、工場の稼働を止めた大掛かりな修繕工事が困難
【北浦工務店の提案と対応】
・衛生・清掃性・異物混入防止という食品工場特有の視点から、適切な材料・工法を選定・提案
・今後の工場移転も見据えて、コストを有効に使う修繕提案
・工場の稼働を止めない前提で、スモールスタートの改善案から必要に応じて段階的にレベルアップする工事計画
・緊急トラブルにも即応しつつ、別業者の方が適している案件は信頼できる専門業者を紹介
3.お客様インタビュー:株式会社蓬莱本館 常務取締役 東様
困ったときは、まず北浦工務店に。食品工場の特性を理解した最適な提案が、信頼につながっています。

複雑な構造の建物に対する的確なアドバイス
1945年創業の当社は、スーパーや百貨店へのチルド商品の卸しを中心に、昔ながらの味わいを大切にした豚まん・焼売を製造・販売しています。
以前よりお付き合いのあった工事業者さんが高齢化に伴い廃業されたため、信頼している設備メーカーさんに北浦工務店様をご紹介いただいたのが、お付き合いのきっかけです。製造機器や設備のトラブルはメーカーに直接修理を依頼しますが、建物そのもののトラブルに関しては、まず北浦社長に相談させてもらっています。というのも、レストラン・桜川工場ともに40年以上前に建てられ、増築・改築を重ねてきた結果、構造が非常に複雑で、これまではどの箇所でどのようなトラブルが起きているのか、誰に相談すべきかと判断に迷う場面が多々ありました。北浦社長に相談すると、「これは北浦工務店で対応できます」「これは〇〇の業者さんに連絡された方がいいですよ」と即座に答えてくださるので、私たちも判断しやすくなりました。

食品工場のリスクを熟知した現場目線の提案
北浦社長は食品工場の修繕工事の経験が豊富で、食品を扱う店舗や工場の特性を熟知されています。「ここは汚れがつきやすいです」ではなく「このやり方では、こういう経路で粉塵が飛んで異物混入のリスクになりやすいので、こう変えるとリスクを減らすことができます」というように、現場目線で具体的に説明してくださいます。さらに、「この部分は〇〇のような方法で修繕をするのが一般的だけれど、御社の場合はこのような方法がオススメです」と、選択肢を提示した上でより最適な提案をしてくださいます。
専門的な相談だけではなく、「これは修繕する必要があるだろうか?」という小さな疑問も気軽に持ちかけられる関係性が築けているのも、長くお付き合いをさせていただけている理由の一つです。
豚まん1日6万個。食品工場特有のトラブルを、現場目線で解決に導いてくれます

大量の蒸気と小麦粉による天井の劣化対策・工場結露への対策
桜川工場では豚まんと焼売をメインに製造しており、繁忙期には豚まんだけで1日あたり約6万個を製造します。数百個の豚まんを一度に蒸すため、蒸し庫の扉を開ける度に大量の蒸気がフロア内に放出され、夏場は業務用エアコンをフル稼働させても追いつかないほど高温・多湿に。それが原因で、天井の塗装が傷んで剥がれ落ちるトラブルが頻発していました。塗装の剥がれは異物混入につながりますし、湿度が上がると工場内に結露が発生するためカビの発生原因にもなり得ます。これまで何度も塗装し直しましたが、時間が経つと同じ問題が起きてしまうことが悩みの種でした。
また、豚まんや焼売の生地には大量の小麦粉を使用するため、天井付近まで小麦粉が舞い上がり、剥き出しの配管や空調ダクト、壁の凹凸部分に付着してしまいます。放置するとカビや腐敗、虫の発生源にもなってしまうので、細部まで毎日清掃を徹底していましたが、その分作業負担も大きいものでした。
こうした課題を北浦社長に相談したところ、蒸気に強く清掃しやすいボード材で製造フロアの天井一面を覆う提案をいただきました。それにより、清掃作業が大幅に軽減され、スタッフからも喜びの声が上がっています。

日常的な床面の傷への簡易補修アドバイス
製造フロアでは、豚まんを乗せた重いラックを移動させるたびに、タイヤによる摩擦で床の凹みや欠けが頻発します。部分的なものではありますが、ラックが引っかかると転倒の恐れもあるため、日々の作業の小さなストレスとなっていました。北浦社長との雑談の中で何気なく話したところ、簡易補修の材料と方法を教えていただきました。今では、日常で発生する小さな凹みや傷などは私たちで補修し、広範囲の修繕が必要になったときだけ北浦工務店様にお願いしています。
図面にない原因箇所まで特定。トラブルを根本から解決する徹底ぶりに「さすがだな」と感じます

複雑な増改築に隠された工場の雨漏り原因の特定
2020年代に入ってから、桜川工場の一部で雨漏りが目立つようになりました。建物が古いので多少の雨漏りは想定内でしたが、ついに工場内が水浸しになってしまうほどの被害が出てしまい、慌てて北浦社長に連絡しました。
建築時の図面はあるものの、増改築を重ねているため原因箇所の特定が難しい状態だったので、工場を止めることのないよう応急処置を施していただき、雨漏りの可能性のある要因を一つ一つ調査していただきました。その結果、4階から5階へ上がる階段の裏側に、屋外へと剥き出しになった小さな空間が見つかり、そこから入り込んだ雨水が内部へと伝ってきていたことが判明しました。長年この場所を使用している私たちも「まさかこんな空間があったのか!」と驚きましたね。

アーケード街の店舗におけるピンポイント修繕
レストランの厨房でも、店舗屋上の排気設備の劣化が原因で、手元が見えなくなるほど蒸気が厨房内に充満してしまうトラブルがありました。本来なら設備一式を入れ替えないといけないのですが、商店街のアーケード沿いという立地上、クレーンを使ってアーケードの電動屋根を開放する大掛かりな工事が必要になり、時間や費用、近隣店舗への影響など懸念点がたくさんありました。そこで北浦社長は、設備周りの構造を詳細に調査し、不具合箇所だけをピンポイントで特定。工事を最小限の範囲にとどめ、営業を止めることなく解決できました。
問題が起きたときに「なぜそうなっているか」を限界まで突き止め、状況に合わせた解決策を出してくださるところは、いつもながらさすがだな、と感じましたね。
企業の未来を見据えた提案と、人間味あふれる仕事ぶり。頼れるパートナーです

工場移転やランニングコストを見据えた経営視点
私たちが北浦工務店様に信頼を置いている一番の理由は、“先を見据えた提案”をしてくださることです。
数年後に予定している工場移転まで視野に入れ、「このエリアは移転前提なので、最低限のコストでリスクを抑えましょう」「ここは今後も使っていくので、思い切って新しくした方がランニングコストを節約できます」と、経営判断に直結する意見をはっきり伝えてくださいます。
また、別の工事の打ち合わせ中には、偶然目にしたガス管に対し「現在の使用状況に対してサイズが大きすぎるので、適切なサイズに変更すれば長期的なコストカットにつながります」とご指摘をいただきました。これは、食品工場や店舗の幅広い知見と、当社の建物全体への深い理解があるからこその視点です。北浦工務店様とのお付き合いを通して、私たちも単なる「修繕費」ではなく、将来のランニングコストを下げる「投資」として捉えるようになりました。

「ただの業者」ではない、心強い経営のパートナー
北浦社長が見てくださっているのは、部分的な修繕箇所ではなく、私たちの会社の未来です。ときどき「僕よりも会社のこと熱く語ってくれているんじゃないか?」という瞬間もあるほど、工事業者という枠を超えた人間味溢れる仕事ぶりを随所に感じます。
創業より長きにわたり、変わらない味を守り続けてきた当社にとって、店舗や工場の安全で安定した製造体制もまた守り続けるべき大切なものです。北浦工務店様のようなパートナーの存在が、企業としての何よりの安心につながっています。
4.【施工詳細】食品工場特有のトラブルに対応した修繕・改修の技術的課題と解決策
食品工場特有の蒸気・粉塵・水まわりトラブルに対応した複合的な修繕・改修工事。
建物の増築履歴が複雑な環境下において、現地調査と仮説検証を重ねながら根本原因を特定。食品製造の衛生基準を踏まえた素材選定と施工方法により、異物混入リスクの低減・清掃性の向上・設備の安定稼働を実現した。
主な修繕箇所の技術的課題と解決策
天井全面改修(桜川工場)
製造過程で発生する蒸気による塗装の剥がれ、むき出し配管への粉塵堆積という複合的な衛生リスクに対し、清掃しやすいボード材を選定して天井全面を改修。異物混入リスクと日常清掃の手間を一度に低減した。
排気設備修繕(桜川工場)
生産量の増加に伴い、既存の排気設備の能力が追いつかず、慢性的に製造フロアに蒸気が充満。エアコンや照明などが故障するほどの影響が出たため詳細調査を行った結果、排気設備の経年劣化による不具合と特定。工場移転計画を視野に入れ、大規模工事を行わずに最小限の工事で根本解決を図った。
排気設備修繕(レストラン):
厨房内に蒸気が充満する突発的なトラブルが発生。屋上排気設備の経年劣化に加え、既設ダクトとの能力ミスマッチが根本原因と判明した。商店街という立地条件も考慮し、設備一式の交換ではなく最小限・短期間の工事で解決した。
雨漏り原因特定と止水(桜川工場)
増改築を重ねた複雑な構造の建物において、図面に記載のない箇所を含め段階的に原因を調査。事務所増設時の階段下付近における外壁防水未処理箇所を特定し、的確な防水施工によって長年の課題だった雨漏りを解消した。
繁忙期の漏水緊急対応(桜川工場)
突発的に発生した漏水に対し、床下配管の構造上、部分補修が困難と判断。給水管のルートを最短経路に変更して既設配管に接続するバイパスを新設し、今後のメンテナンスを考慮したバルブも設置。工場の稼働を止めないよう、休暇期間中に迅速に工事を完了させた。
ガス管の最適化+ランニングコスト削減(桜川工場)
現在の使用状況に対して、ガス管のサイズが過大であることを確認。適切なサイズへ変更し、長期的なランニングコストの削減につなげた。
床面の簡易補修技術の伝授(桜川工場)
ラック移動による床の凹みや欠けに対し、日常的に発生する小さな傷や凹みを応急処置できるよう、簡易補修の材料と方法を伝授。
現場環境管理と運営への配慮
食品製造現場における異物混入防止を最優先とし、工事エリアの粉塵養生を徹底。数年後の工場移転計画を踏まえ、コストを有効に使えるよう、修繕の緊急度と工事範囲を精査。生産スケジュールへの影響を最小限に抑えるため、定休日・休業日を最大限に活用したスケジュール設計を行った。
5.【株式会社北浦工務店について】大阪の工場リフォーム・修繕専門企業
創業から45年の実績を持つ工場リフォームの専門企業。建築業界に根強い分業制の課題を解消するため、プランニングから施工管理までを自社で一括して担うワンストップ体制を確立。中間マージンを排除し、熟練の職人とお客様を直接つなぐことで、適正価格かつ高品質な施工を提供する工場の医者として、多くの生産現場を支えている。
Made In Local(株式会社IOBI運営の地方創生メディア)の「大阪市を代表する企業100選」に選出。(https://madeinlocal.jp/category/companies/osaka023)

著書のご紹介
代表取締役・北浦久夫 著 『目指せ!工場修繕やり直しゼロ ― 元職人社長が現場から伝える“もったいない工事”回避法』(2025年6月24日発売)
現場での実体験を基に、費用対効果の高い改修提案やメンテナンス性を考慮した工事の秘訣を公開。日本のものづくりを支える工場の最適化に向け、プランニングコンサルティング事業も展開している。

